Abstract: Shyu Shing-ching (2009)

台湾大学図書館所蔵の日本研究文献から見た日本殖民史

台湾大学の前身は日本殖民地時代の台北帝国大学であるため、豊富な地域研究の日本語旧籍資料を収蔵している。1928年に設立された台北帝国大学は、1945年終戦まで五十年間に亘って、台湾の総合大学として、日本の台湾での教育責任を負いながら、日本政府の南進政策(南方研究)に合わせた「国策大学」としての役割も果たしていた。当時、台北帝国大学図書館の蔵書方針は、学術研究と教育のニーズに応じ、東洋の文史分野の中・日・西文の典籍資料を大量に収集していた。1945年10月15日を境に、台北帝国大学は台湾大学に改正され、図書・学術雑誌各種を受け継いで約四十七万四千余冊の出版物が台湾大学図書館の重要な資産になった。

Abstract: Hayashi Rie (2009)

Mission of the International House of Japan Library

The International House of Japan is a private, non-profit organization incorporated in 1952 for the purpose of promoting cultural exchange and intellectual cooperation between the peoples of Japan and those of other countries. The library was opened in 1953 and since then it has been working to support Japanese Studies academics and information specialists in Japan as a specialist library for Japanese Studies. We would like to introduce its history and services to colleagues overseas.

Abstract: Utsumi Yasuko (2009)

歴史資料としての『浪華勝概帖』:大坂の武士と文化

『浪華勝概帖』は江戸時代後期(19世紀)の大坂の風景を描いた優れた美術品である。本報告では、まず日本国内でもあまり知られていない『浪華勝概帖』という作品の全体像を紹介する(1)。つぎに所有者であった江戸出身の武士、および彼の大坂における交流について説明することで文化的背景を探る(2)。さらに、この作品が大坂土産であった意義を、作品が名所図の性格をもち(3)、かつ肉筆画帖という形式であることに注目し、この2つの観点から説明する(4)。また、このような肉筆画帖が海外への贈答品として贈られた例を紹介する(5)。最後に、美術品を歴史資料として論じることの意義を述べる。

(1)現在、大阪歴史博物館に所蔵されている『浪華勝概帖』は全2冊、漢文の序・跋、および95景の画からなる風景画帖である。嘉永元年(1848)の序は、大坂を代表する漢詩人篠崎小竹によるものである。また画は28名の画師によるもので、西山芳園、上田公長、玉手棠洲といった四条派につながる大坂の画師が多くみられる。タイトルの「勝概」とは「すぐれた趣」「よい景色」を漢語で言い表した言葉であり、大坂城、四天王寺、住吉大社といった名所や大坂の景観を特徴づける水辺の風景が描かれている。

Abstract: Tytler, izumi (2009)

画像保持者の側から:ボドリアン図書館Imaging Services部

ボドリアン図書館のImaging Services部は1940年代に写真スタジオ部門として創設され、現在OULS (Oxford University Library Services)全体の所蔵資料の画像作成・使用許可に関する全てのサービスを取り仕切っており、年間59,000点以上の画像供給を行っている。画像使用許可取得について当部のガイドラインの観点から考慮する。

Abstract: Egami Toshinori ; Cryns, Frederik (2009)

国際日本文化研究センター所蔵の古医学書について

Old Medical Books in the Library of the International Research Center for Japanese Studies

国際日本文化研究センターは「宗田文庫」および「野間文庫」という二つの古医学書コレクションを所蔵している。

「宗田文庫」は日本医薬を中心とした故宗田一氏の旧蔵書から成るコレクションである。宗田氏は日本医史学会常任理事として活躍し、日本の医療文化史の権威として知られている。また、国際日本文化研究センターではその設立当初から共同研究員として研究活動を行い、氏の遺志により、その蔵書が同センターに寄贈され、広く公開・利用されるようになった。

「宗田文庫」は漢方・洋学などの和医学刊本や写本が中心であるが、その他にも、

引札・商品広告・錦絵・書画・番付のような一枚刷や雑誌類や文書など、日本医療文化史に関する幅広い種類の資料が豊富にある。

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